XM-FL 改修しました

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XM-FLを購入して色々撮影していて思いましたが、これパンフォーカスじゃなくない?

遠景どころか十数m先もぼやけてない?

どうもこのフォーカス位置固定レンズはパンフォーカスではなく3mくらいの位置にピントの山があって、被写界深度的には1.5m~8mくらいが良く写ってそれ以外の範囲は緩やかにボケて行っているのではないかと。

購入前に見ていたレビューにはピントは3mくらいであって遠景はボケることを指摘していたものもありましたし、薄々そうではないかなぁとは思っていましたが、購入してすぐは「イヤイヤ値段なりに解像度高くないだけでしょ」と目を背けていました。
しかしどうにも頭の片隅のその疑念が陣取っていてるので、それを解消すべく過焦点距離計算アプリなどで計算してみました。
結果、焦点距離24mmでF8のレンズだと一般的なAPS-Cセンサーの許容錯乱円径0.020mmで計算した場合、仕様上の1mからのパンフォーカスなど到底無理でピント位置が最短で大体3.6mくらいの時に1.8mくらいからパンフォーカスさせることが可能ということに。
じゃあXM-FLの仕様通りに1mからパンフォーカスさせるにはどうすれば良いか考えると、焦点距離とF値は変えようがないので許容錯乱円径を変更することになるのですが、その場合APS-Cサイズの0.020mmどころかフルサイズの0.030mmを超える0.035mmに設定しないといけませんでした。

まあ正直、許容錯乱円径っていうものについて調べると鑑賞環境や鑑賞者の許容度によって変化する割と主観的な値な感じがするので、そんなもんかと割り切ることもできます。
でも現在の主な鑑賞環境はPCの画面なので、許容錯乱円径は画素ピッチ(X-Pro3の場合は0.0038mm程度)と同等まで狭まるわけです。
(ちなみにそれで計算すると最短で大体20mの位置にピントを合わせて10mくらいからパンフォーカスできる模様)
ですのでピントの合っている場所とあっていない場所の差が割とよく分かってしまいます。
主題となる被写体が近傍にある場合は足で距離を調整してフォーカスすればどうにか撮れはしますが、ピントの山はかなりなだらかなので距離感覚をしっかり磨かないといけませんし、風景などはもう若干ボケるのを覚悟する他ありません。
パンフォーカスを期待してXM-FLを購入したため、これはちょっと残念ポイントですね……。
ただまあ前方数mに被写体を持ってくれば程よくいい感じに撮れるというメリットはあります。

そういえばXM-FLを改造した人が居るとか見た気が……!

残念だけど近傍被写体を撮影すること前提のレンズとして運用していましたが、上で紹介したXM-FLレビューのうち最後のレビューの最後にボソッとこんなことが書かれているのを思い出しました。
ところが世の中いはすごい人がいて、このレンズを無限大にピントが合うように分解改造した人が居るのです。
え、レンズを分解……改造?!そんなことして壊れたら大変……って思ってスルーしていたのですが、思い出したのですから仕方ありません。
試しに「XM-FL 改造」で検索すると簡単にヒットしました。
なるほどこれは簡単そうだ……。

というわけでXM-FLの改修に挑戦しました

詳細な手順は上記サイトを参考にしてもらうとして、要約すると次の3ステップ
  1. マウント面のネジを精密ドライバーで外してマウントパーツを外す
  2. 薄い板(スペーサー)が2枚入っているので1枚を取り出して大切に保管する
  3. マウントパーツを元の位置に押し込んでネジ止めする
ね、簡単でしょ?

元の状態に戻したい場合は保管しているスペーサーを入れ直すだけなので、ネジ山が潰れない限りは可逆変換です。
安心!
改修前はマウント面が側面パーツから若干はみ出していたのですが、スペーサーが無くなったことにより完全フラットな状態になります。
よりスリムになったね!

尚、マネする際は当然自己責任でお願い致します。不利益を被られても一切の保証は致しかねます。

肝心の写りはどうなったかというと

↓改修前

↓改修後
※別日なので日の当たり方などは違いますし、ちょっと改修後の方が中央のポールに近くなってしまってます。

まず中央手前のポール(撮影位置から大体1.5m)を比較すると、改修前は白い反射テープのディテールまでしっかりと写っていますが、改修後はかなりぼやけてしまっています。
これはレンズを手前に近づけた為にピント位置が後ろに行ってしまったからですね。
仕方ないです。
主観になりますが、改修後のぼやけ具合は2mぐらいまでがギリギリセーフな感じで3mくらいからはほとんど気にならない感じです。

次に中央奥のカーブミラー(撮影位置から大体15m)や左手奥のマンション(撮影位置から大体75m)を比較すると、改修前はぼやけているのに対して改修後の方はくっきりと写っています。
※ちなみに距離はグーグルマップの距離計測機能で測っているため誤差はあると思います。

24mmのレンズを街中で使うのでしたら70m先までくっきり写ればもう十分だと思いますが、せっかくなのでどれくらい先まで写せるのかを見てみましょう。
画面中央左寄りのマンション群、撮影位置からの距離は概ね600mですがしっかりと写っているように見えます。
中央寄りの大きなマンション4棟の左にあるマンションに至っては更に離れて概ね660mの距離にありますが、拡大するとマンション名も凡そ読み取れます。

画面中央ちょこんと小さく飛び出したマンション、撮影位置からの距離は概ね2.3kmとなりますが、等倍鑑賞しなければOKのギリギリ及第点くらいには写っていると思います。

まあ2m過ぎ辺りからピントが合い始めてると感じるということは、計算上無限遠までピントが合っているはずですし、オーバーインフもしていないようですから改修は成功と見做せるでしょう。

改修してはみたものの……

遠景はかなりしっかりくっきり写るようになりましたが、その代わりに近景が撮れなくなるのは正直もったいない感がすごくします。
改修前後を比較した写真の白い反射テープ、改修後はどう頑張ってもあの鮮明さで写ることはありませんでしたし。

主題を明確にして写すような使い方が主な場合は未改修、路地裏などで全体の雰囲気を写すような使い方が主な場合は改修してという風に使い分けるのがいいのでしょうが、流石に出先でレンズばらしてやり替えるなんてことをするわけにもいきませんし困ったもんです。

いっそ新しいコンパクトなレンズが欲しいですね――

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